マタタビのみかん箱

月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり。

マタタビのみかん箱

ペンと本に、みかんを添えて
武田綾乃先生の講演会に行ってきましたれぽ

武田綾乃先生

講演会れぽーと
【読書】大学生へのおすすめ本 展示の記録

おすすめ本

展示記録
クソデカ文学「クソデカ羅生門」のマジ半端ない風情を読み解く。

クソデカ羅生門を

読み解く
注目ボードゲームまとめ

注目ボードゲーム

まとめ

クソデカ文学「クソデカ羅生門」のマジ半端ない風情を読み解く。

f:id:matatabi6785:20201121205957p:plain

2020年6月11日。

はてな匿名ダイヤリーに突如出現したクソデカい羅生門。

 

今回はこの「クソデカ羅生門」を出来るだけ真面目に読み解きます。

嘘です。

真面目に読んだら後悔しますよ。

 

※この記事は本文に目を通してから読まれることを推奨します。

「クソデカ羅生門」全文 ▼

anond.hatelabo.jp

 

 

増田文学とは

この「クソデカ羅生門」は、はてな匿名ダイヤリーに投稿されたため、「クソデカ文学」「増田文学」と呼ばれます。

「増田文学」って何?と思われる人もおられるかと思います。

増田とは匿名ダイヤリーの通称です。

はてな匿名ダイアリーの英語表記である「アノニ“マスダ”イアリー(Anonymous Diary)」から取られています。

 

そんな増田から誕生したまるで文学のような芸術作品群、それが「増田文学」です。

明確な認定基準は無いので、日々突然に誕生します。

 

興味がある方はこちら ▼

anond.hatelabo.jp

 

「クソデカ羅生門」をくぐる

「クソデカ羅生門」を真面目に読み解くため、まずは本文を印刷してみました。

 

f:id:matatabi6785:20200613231137j:image

クソ長い

 

本文自体も「羅生門」をクソ長くしてあります。

文章の重量感が凄い。

そのわりにはリズムが良いのか、けっこうサクサク読めます。


クソデカくない方の羅生門はこちら ▼

www.aozora.gr.jp

 

象くらいある蟋蟀(きりぎりす)

一般的な蟋蟀は10~40mmくらい。

これに対して象は3mくらいなので、3mということになります。

しかし、断言してはいけません。

 

「象くらいある」という比喩はこの作品世界での象かもしれないので、現実世界の象と同じとは限りません。

そうなると「クソデカい象」くらいある蟋蟀ということに……え?

というか下人の身長いくつ?

 

激・雨やみをする巨大市女笠や爆裂揉烏帽子

この世において「激」とか付くのは「帝国華撃団」くらいだと思っていました。(※檄)

市女笠と烏帽子はこの時代の装束ですね。

巨大はまぁ分かるとして、爆裂って何だよ。

爆☆裂☆

 

ただの烏帽子ではなく、「揉み」烏帽子ですね。

薄く漆を塗って、塗り固めない。柔らかにもんだ烏帽子です。

つまり、「帽子が爆裂している」わけでは無く、「爆裂に揉んである」ということですね。

どういうことだよ。

 

先行きが不安になってきた

 

超巨大地震 破壊的辻風 最強大火事 極限飢饉

口に出して読みたい大災害ベスト4。

辻風は塵旋風と呼ばれる突風の一種です。竜巻や台風とはちょっと違います。

まぁ「破壊的辻風」になってくるともはや何を指しているのか分かりません。

 

災害ってだけでただでさえヤバいのに、その上位互換となると想像もできません。

そこでクソ広い洛中のさびれ方はマジでもう一通りとかそういうレベルではない。

そりゃそうだろうな。

 

丹がベッチャベチャについたり、金銀の箔がもうイヤになっちゃうくらいついたりした木

汚い

ありがたみが無い 

 

クソデカ羅生門の住人

まず、「クソヤバい狐狸」。

たぶん妖怪。

 

次に「世界最強の盗人が6万人」住んでいる。

ここからクソデカ羅生門には6万人を余裕で収容出来るキャパがあることがうかがえます。

東京ドームのキャパが5万5千人なので、それより大きいです。

RPGのダンジョンでもこんなに盗人出ない。

 

複数いると「世界最強」の定義があいまいになりますね。

そして6万人の盗人一味ではなく、6万人の個人の可能性もあります。

 

そして億単位の「超凶悪な鴉」。

たぶん妖怪。

無数の死体を狙いに来ているので、カラスと呼ばれているだけで実は死神なのかもしれません。

 

クッソ大きな面皰(にきび)を気にしながら

ニキビ気にしている場合か?

周りヤバいぞ

 

作者はさっき、「下人が雨やみをメチャメチャ待っていた」と書いた

嘘つくな

簡略化すな

 

超人下人

主人からクビにされ行く当てもなく途方に暮れていた下人。

超人のような特徴が随所で見られます。

 

まず下人は「Ultimet-Sentimentalisme of the Gods」を持っています。

f:id:matatabi6785:20200613231719j:plain

なるほど わからん

 

そして「のちに剣聖と呼ばれる最強の」お方です。

そんな設定あったか?

 

聖剣クソデカ羅生門伝説

しっかりしろ

 

そんなこんなで下人は「世界最強の盗人になるよりほかに仕方がない」という決意が出来ずに居ました。

夢がデカい

下人の目標ですらビッグサイズ。

さすがに剣聖になられるお方はスケールが違います。

 

その後も人間の限界を超えたり、物理法則を無視したりと順調に人間離れした行動を見せつつ、何百分と二三千段の梯子を上っていきました。

 

このように下人は、随所で超人のような行動をしれっとやります。

 

巨下人

略すな

あるいは打ち間違いかもしれない

 

超人老婆

もちろんこのクソデカい羅生門を上ってきたので、老婆も超人です。

「世界すら灼く業火」を普通にともしています。

そして髪の毛一〇〇〇〇本抜きます。それはもうガンガン抜きます。

 

付け加えれば、ここに死体を捨てに来た人々も超人です。

この世界には超人しかいません。

 

下人は老婆を目にした時、メチャメチャくっせえ死体の臭いを忘れてしまいます。

それくらい、老婆からゲロ以下の臭いがぷんぷんしたのかもしれません。

72時間息を止めるくらいですからね。

 

激臭死骸の中に蹲っている最低最悪醜悪人間を見た。檜皮色のきったねえ着物を着た、ノミのように背の低い、ナナフシのように痩せこけた、白銀髪頭の、豆猿のような老婆である

そしてこの言いようである。

 

何せ下人は「最強正義の体現」「清廉潔白超高潔」なので悪は許せないのです。

かっこいい。

さっきまでの盗人王のことは忘れました。

梯子上るのが長くて疲れたんでしょうね。

 

世界最高の名刀と謳われる聖柄の大太刀

そんな設定あったか?

 

そんな刀に手をかけて、下人は三千里ジャンプ。

驚いて、老婆も天高くジャンプ。

お前も飛ぶんかい

 

大死骸全てに無様につまずきまくりながら、可哀想なくらい慌てふためいて逃げようとする老婆

案外ドジっ子

人間アピール

 

髪を抜かれた女

大疫病に5回かかって死んだ女。超人なので4回助かっています。

八岐大蛇(やまたのおろち)を切って干したのを、干巨大怪魚と偽って販売していました。

なんでそんなことしたん?

 

八岐大蛇(やまたのおろち)

日本神話にみえる頭と尾が八つずつある巨大な蛇。

出雲の簸川(ひのかわ)上流にいて、大酒を好み、毎年一人ずつ娘を食ったが、素戔嗚尊(すさのおのみこと)がこれを退治して奇稲田姫(くしなだひめ)を救い、その尾を割いて天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)を得たという。

八岐大蛇(やまたのおろち)とは - コトバンク

 

え? なんでそんなことしたん???

 

スサノオもドン引きするレベル

 

失望する下人

下人は老婆の言葉を聞いて失望します。

「この世全ての悪」くらいに見ていた老婆が、平凡な髪の毛泥棒だったので当たり前です。

 

開き直った下人は老婆の衣服をはぎ取り、さっきは何百分とかかった梯子をまたたくまに駆け下りました。

絶対に飛び降りた

 

おわりに 口の悪い語り手

語り手は口が悪いです。

下人の主人の説明では「糞主人」と語っています。

下人の主人への憎しみを表しているのかもしれません。

 

そして、語り手の口の悪さは京都にも向けられ、

最低最悪のゴミの掃き溜めである京都の町

南極かってくらいに夕冷えのする世界最悪の罪の都

 と言われる始末。

 

まさか京都もこんなに悪く言われるとは思っていなかったでしょう。

 

しかし口の悪い語りが多い中で、芸術的な表現も織り込まれており、印象的になっています。

白いミスリル鋼の芸術品のように美しい色

何か金剛石のごとく硬い物でも噛んでいるように

 

 

途中から下人という単語には、「クソアホ」「最強」「有能」など様々な言葉が付けられています。

誇張表現ではありますが、これはちゃんと文脈にそっていて、下人の感情を読み取る助けになっています。

 

しかもこの全体的な誇張表現によって、下人の感情の矛盾が分かりやすくなっています。

下人の感情の対比や、下人と老婆の対比がとても分かりやすく読み取れると思います。

 

 

全文を読むと「羅生門」の雰囲気を崩していないことに驚きました。

ふざけているのにどこか風情があるのは、「羅生門」の物語の根幹をしっかりとらえて書いているからかもしれません。

 

とても面白かったです。

長くなりましたが最後までお読みいただき、ありがとうございました。