【おすすめマンガ】九井諒子さんの作品集が好き。
みなさん、『ダンジョン飯』という漫画をご存知でしょうか。
人気作品ですね。
では、その作者の九井諒子さんが作品集を出されているのはご存知でしょうか。
私は作品集が大好きです。
と言うわけで今回は九井諒子さんの作品集のお話。
九井諒子さんの作品集は3作あります。
それぞれについて、オススメポイントを添えて書いていきます。
九井諒子さんについて
同人活動を経て、2011年より商業誌へ作品を発表。
2014年、自身初の長編連載『ダンジョン飯』を開始。「2016年度このマンガがすごい!」1位など、様々なランキングにランクインした人気漫画です。
現在は9巻まで発売中。
そして『ダンジョン飯』連載の前に、3作の作品集を刊行しています。
『竜の学校は山の上』(2011)
最初期の中編集です。
「勇者と魔王」をテーマにした作品では、「勇者は魔王を倒した後、どうなったの?」「魔王はどうして誕生したのか?」という少し世知辛いファンタジーが描かれます。
現実世界を舞台にした作品では、「竜が動物のように実在したら?」「同級生が天使だったら?」「社会にケンタウロス(馬人)が居たら?」と現実とファンタジーが溶け込んだ物語が描かれます。
お伽噺のような「代紺山の嫁探し」が好きです。
ファンタジーと現実が溶け合う
ファンタジーの世界では、勇者が魔王を倒してハッピーエンド。
「本当にそうですか?」と、人物の視点を変えたり、時間の経過を使って、ご都合主義のおとぎ話へと深く深く潜っていく物語が多いです。
皆が幸せとはいかないので、後味が悪いと感じる人も居るかもしれません。
でもその後味の悪さ、心にチクッと刺さるものが忘れられず、時々読み返してしまいます。
九井諒子さんの不思議な魅力が際立った中編集です。
『竜のかわいい七つの子』(2012)
2作目の中編集。
こちらでも「狼男が現実に居たら?」「海に人魚が住んでたら?」など現実世界とファンタジーの溶け合いは健在。
竜の役割が重要になるお伽噺のような作品もあり、古き良き和製ファンタジーも楽しめます。
描いた絵が動き出す画家「金なし白碌」、受験を題材にした「わたしのかみさま」がお気に入りです。
わたしと違うあなたを理解したい
「ファンタジーな生物を理解したい」そういった思いで行動する主人公が目立ちます。
もしかしたら、この考えは九井諒子さんの作品作りの原点なのかもしれません。
反対に「ファンタジーな生物を私利私欲のために利用する」という姿も見られます。
一筋縄ではいかない幻想物語です。
そして、物語による絵柄の書き分けが凄い。作品世界を壊さないその画力をぜひ見ていただきたいです。
『ひきだしにテラリウム』(2013)
3作目の短編集。
これまでの2作の深いテーマとは打って変わって、小さなアイデアを詰め込んだ30編以上を収録した短編集。
ここでも現実とファンタジーの溶け合いや、不思議なお伽噺は健在。それに加えて若干ギャグ要素が強めになっています。
SFやシュールなものなどジャンルは様々。 『ダンジョン飯』のギャグ要素が好きと言う方には特にオススメ。
一生栃木から出られない「旅行へ行きたい」、小説が夢へと誘う「ノベルダイブ」など好きな作品は挙げだしたらキリがありません。
個人的にはすべてのお話が好き。3冊の中で1冊薦めるならこちらです。
アイデアのおもちゃ箱
シュールなギャグ要素が満載で、『ダンジョン飯』の掛け合いの面白さの原点が詰まっています。
さらに物語によって絵柄が様々に変化するので、「本当に一人で書き分けてるの?」と思ってしまうほど。
九井諒子さんの魅力がふんだんに詰まった、万人にオススメしたい1冊です。
おわりに
九井諒子さんの3冊の作品集を紹介しました。
気になった作品はありましたでしょうか。
私はこの3冊を本棚にお守りのように置いています。
不思議な世界へ連れていってくれる大切な3冊です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
*1:https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784781605456 版元ドットコム『竜の学校は山の上』九井諒子.イースト・プレス.2011 より引用
*2:https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784047284081 版元ドットコム『竜のかわいい七つの子』九井諒子.KADOKAWA.2012 より引用
*3:https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784781609485 版元ドットコム『ひきだしにテラリウム』九井諒子.イースト・プレス.2013 より引用