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【書評】涼宮ハルヒの憂鬱 神の力を持つヒロイン

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『涼宮ハルヒの憂鬱』と言うのは、私にとって思い入れの深い作品だ。

中学生の頃、この作品はアニメの形となって爆発的に人気を博した。多くの人が小説やアニメを楽しんでいて、私もその一人だった。

 当時私にとって物語と言うのは、一つに一テーマというイメージだった。例えば宇宙人なら宇宙の話だし、未来人ならタイムトラベルといった感じだ。それだけでとても広大なテーマで、どんな話が展開されるのかワクワクしたものだった。

しかし、『涼宮ハルヒの憂鬱』という作品はそんな私のイメージを正面からぶっ壊した。

 

涼宮ハルヒは天真爛漫な高校生。SOS団という謎の部活を作り、面白いことを探す。主人公のキョンはそんなハルヒに振り回されていく。

それだけならただの学園もので終わるのだが、問題はこの後だ。

集まった部員達が「私は宇宙人」「私は未来人」「僕は超能力者」とキョンに対して打ち明けてくる。

1巻からものすごい情報量を叩きつけてくるのだ。「宇宙人」でワクワクしていたら、間髪入れずに次は「未来人」、そして「超能力者」登場である。

「そうか、この話は宇宙人の話だな!」と思ってのんきに読み進めていたら突然ビンタされたようなものである。

「こんなのアリかよ!?」と思ってしまった。

しかしアリなのだ。それを可能にするのが涼宮ハルヒなのだ。

 

涼宮ハルヒはある日を境に、願望を無自覚に実現させてしまう能力を得てしまっていた。まるで「神様」のような力だ。

部員達はそんなハルヒを監視するために集まったのである。

「え?じゃあキョンは何なの?」と読者は思うのだが、大丈夫、当然キョンも思っている。

「え?じゃあ俺は何なの?」

キョンはなぜか涼宮ハルヒの一番近くに居る「一般人」だった。もうどうしようもなく困ってしまうくらい一般人である。

主人公に定番であった、教室の窓際の席で空を見ながら「何か面白いことないかなぁ」と思ったりもしない。むしろそれはハルヒがやっている。

 

こうして一般人キョンは、ハルヒが無自覚に起こす様々な超常現象に遭遇し、どうにかハルヒにバレないように部員達と共に解決していくことになる。

表面上はただの日常風景なのに、裏では何が起こるか予想が付かない。それが何年もの間、ハルヒシリーズが読者を引き付けて離さない魅力なのかもしれない。

 

何年も前の作品なので、「読んだことが無い」「名前しか知らない」と言う人も多いかもしれない。でも、少しでも興味が出たならぜひ読んでみてほしい。

 

 

谷川 流(著) いとうのゐぢ(イラスト)