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まとめ

電子書籍の「中古販売」とは、いったい何ぞや

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先日、電子書籍の中古販売についての記事が話題となっていました。

電子書籍の「中古販売」…?それはいったい… と思ったので、自分なりに調べてみることにしました。

 

話題になっていた記事 ↓ 

headlines.yahoo.co.jp

 

 

はじめに

本題に入る前に、電子書籍の基礎を確認します。

 

①ユーザーは電子書籍の購読の権利を持っていて、所有しているわけでは無い

私たちは電子データにアクセスする「鍵」を買っています。

所有しているわけではありません。

そうしないと、データをいくらでもコピー出来てしまうからです。

つまり、サービスが終了すると今まで買った電子書籍は全て読めなくなるということです。

例えば、kindleのサービスで買った本はkindleでしか開けません。他の電子書籍販売サービスも同様です。

実際に、2013年に楽天の「Raboo」というサービスが終了し、読めなくなりました。

その際は補填がありましたが、もしkindleが終了したら…と思うと少しゾッとします。

 

 

電子書籍にも取次が存在する

toyokeizai.net

紙の本に取次が存在するように、電子書籍にも取次が存在します。

 

紙の書籍では、取次業者を介さずに、出版社と書店が直取引をする動きが盛んになりつつある。ところが、電子書籍の場合、売り上げデータ集計の煩雑さなどから、そうした直取引の動きは希薄なようだ。「1冊を複数に分割して販売することもあり、集計業務が複雑なため、取次が代行する意味が大きい」(メディアドゥ幹部)

https://toyokeizai.net/articles/-/129257?page=2

 

スマホの普及により成長を続ける電子書籍業界。その取次のほとんどを占めているのが「メディアドゥ」という会社です。

一般的には、「出版社→取次→電子販売所→ユーザー」の順番です。

つまり、紙の本と同じで一筋縄ではいかない業界という事です。

 

 

電子書籍には再販制度は適応外

再販制度は、出版社が価格を決めるので、書店は価格を勝手に変えてはいけませんという制度。

これにより、リアル書店は本の割引が出来ません。

しかし、電子書籍は適応外なのでセールなどの安売りが行われるのです。

しかもこれは著者や出版社の許可がいらないので、知らない間におこなわれるのがほとんどです。

再販制度については、下記の記事を読ませていただきました。

www.kotsulog.com

 

「なぜamazonは安売りが出来るのか?」「叩き売りされるのが分かっていて、amazonに販売委託するのはなぜか?」については、安売りしても出版社に対して通常通りの報酬を支払っているからとのこと。

お金を持っているamazonだから出来ることなんですね。

 

 

電子書籍の中古販売を実現するには

本題に入ります。

まず電子書籍の中古販売を行うには

ユーザーがデータの所有権を持つ

これが大事になってきます。

そしてその実現には

ブロックチェーン技術を使う

 

ブロックチェーンって、よく聞くけど結局何さ。

あれでしょ? 仮想通貨のやつ

匙を投げたくなってきた。

 

 

ぶろっくちぇーん とは いったい

note.com

 

f:id:matatabi6785:20200225123037p:plain

なるほど、わからん https://www.mizuho-ir.co.jp/publication/navis/034/special.html

 

集権管理 → バックアップがひとつだけ システムダウン一発

分散管理 → みんながバックアップ持っててめちゃくちゃ安心

管理者入らずで永久稼働を実現

 

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なるほど、わからん https://ferret-plus.com/7706

 

・情報は暗号化される

・暗号は不可逆。つまり再現できない超安心。改ざんも出来ない

 

 つまり、この超安心な自立システムを使ってユーザーの電子書籍取引とデータを全て保存してしまおうということなんです!!!!

 

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 実現に向けての課題

少し取り乱しました。

ここからは、中古販売の実現においての課題について。

もし、「ユーザーに所有権が与えられたら」と仮定して考えます。

 

 

①品質の劣化が無い

紙の本の中古は少なからず品質が新品より劣るため、値段が下がるのも当然です。

しかし、電子は品質が劣化することはありません。

価格はいったい誰が決めるのか。どのように取引するのか。

メルカリのような個人取引か? 中古業者を介するのか?

品質が変わらない安い中古があったら、中古買いますよね?

つまり、そもそも電子書籍に「中古」という概念は無い。

ふさわしい言葉がまだ無い。分かりやすいから「中古」という言葉を当てはめているだけということになります。

 

 

②アクセス権を売るのか、所有権を売るのか

2013年、amazon電子書籍の「アクセス権」、つまり「鍵」をユーザー間で移動させる特許を取りました。

uridoki.net

そのため、kindleには電子書籍を他人に貸し出せるシステムが存在します。

私は最近まで知りませんでした。

kdp.amazon.co.jp

 

そして今回話題になった記事は、前述した大手取次メディアドゥが「所有権」を移動するという内容です。

「アクセス権」と「所有権」では大きな違いがありますし、売った側はデータにアクセス出来ないように誰かがロックをかけなければなりません。

誰がかけるのでしょうか。

 

 

③データ保存の課題

 ブロックチェーンでデータを管理するには、膨大な書籍データを保存する必要がありますが、その経費は高額です。

分割で管理する方法が有力ですが、分散ファイルシステムには課題が残っています。

 

④業界の課題

今回の記事はメディアドゥが中心ですが、出版社がそれに対してあまり良い印象を持っていません。

電子書籍の中古市場が誕生することで、出版社がどれだけメリットが得られるかどうかは重要な要素になるでしょう。また、出版業界は歴史の長さゆえ複雑なので、柔軟に変化するとは考え難いです。

 

 

おわりに

 電子書籍を中古販売したい人はどれくらい居るのでしょうか。

私はむしろ品質が劣化せず、ずっと持っていられるから電子書籍を利用しています。

でも、電子書籍業界が大きくなるにつれて売りたい人は増えてくると思います。

「アクセス権」しかないのに、「なんで金を払って買ったのに売れないんだよ!」と怒る人が現れる…そんな未来もくるかもしれません。

 今回調べてみて、「中古販売」の実現は遠い未来の話、実現するかどうかも分からないというのが私の出した結論です。

技術の進化が激しい時代ですから、今回参考にした情報もすでに古くなっていると思います。

今回の情報に間違った理解もあると思いますので、これからも時間を見つけて追っていきたいですね。