この世界の(さらにいくつもの)片隅に 片渕須直監督トークイベントに行ってきましたれぽ
2月中旬、私は途方に暮れていました。
「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」トークイベント付き上映会に、急な仕事が入ったため、行けなくなってしまったのです。
私の住む福知山には、福知山シネマという商店街の映画館があります。
開館から10年以上経つ歴史ある映画館です。
『この世界の片隅に』の作者であるこうの史代さんが福知山在住という縁があり、福知山市では様々なイベントが開催されたことがあります。
私は福知山に住み始めてその事実を知ってから、「『この世界の片隅に』の続編は福知山シネマで見る!」と心に決めていました。
そして今回、トークイベント付き上映会として、片渕須直監督が来られると聞いてすぐに前売り券を買いに行き、ずいぶん前から楽しみにしていました。
そのため、仕事が入った時の落ち込みは言葉に表せないほどでした。
ずっと落ち込んでいるわけにも行かないので、「せめて映画だけでも見に行こう」と公開初日である21日、仕事終わりにレイトショーへと足を運びました。
福知山シネマには隣に「まちのば」という別館があり、そこでレイトショーが上映されています。
2階には「mozica」というレトロでオシャレなブックカフェもあります。
チケットとパンフレットを購入するとき、受付のお兄さんが「23日のトークイベントに参加されますか?」と聞いてくださいました。
当日はパンフレット購入者に対して監督のサイン会が行われるので、そのための配慮でした。もしかしたら、前売り券を買った時に、顔を覚えていてくださったのかもしれません。
話す気は無かったのですが、気付けば「実は仕事で行けなくなってしまって…」「トークイベントからの途中参加はできませんか」と聞いてしまっていました。
受付のお兄さんは困った顔をされていました。そりゃそうです。自分でも「何言ってんだろ俺…」と思いました。
しかし、そのあと連絡をとってくださり、「立ち見になるかもしれませんがそれでも良ければ」と参加させていただけることになったのです。
パンフレットを当日購入すれば、サイン会にも参加できるとのこと。
とても嬉しかった。どれだけの感謝をしてもしきれないくらい。
私はこの時の御恩を忘れないでしょう。
街の映画館の温かさに触れた瞬間でした。
レイトショーの館内は、平日という事もあり私含めて2人だけでした。ほとんど貸し切り状態で、こんなに贅沢に映画を見て良いのだろうかと思いました。
同時に、もっと多くの人に、福知山市外の人々にも、この映画館を知ってほしいと思いました。
前作『この世界の片隅に』を梅田のテアトルで鑑賞したときは、大学生でした。
時が経ち、年齢を重ねると映画から感じる気持ちも大きく違いました。
何年かすれば、感じる気持ちもまた変わってくるのでしょう。
新規で追加されたりんさんのシーンは、新しいはずなのにどこか懐かしい、まるで最初からそこに存在していたように感じました。
りんさんとのシーンが描かれることで、すずさんの感情がさらに色づいて、心に深く届きました。
ただシーンが追加された補完版などではなく、完全な新作と言って良いと思います。
前作を観られた方は、観ないと損ですよ。
当日仕事を終わらせて無事参加することが出来ました。
福知山シネマのスタッフの皆さまに謝辞を申し上げます。
本当にありがとうございます。
前作を鑑賞した際には、数年後にこの素敵な場所で監督を拝見出来るとは思いもしませんでした。
この映画館でこういった体験が出来たことを大変誇りに思います。
見に来られた方には、若い人から高齢の方まで様々で、この作品が多くの人に愛されていることを直に感じることが出来ました。
トークイベントの開催された2月23日は、映画内でのすずさんの結婚記念日だと語られました。良縁の日ですね。
トークイベント終了後には、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』映画公開記念パネル展にて、サイン会が行われました。
家宝が増えました。
それでは最後に「この世界の片隅に」、そして福知山シネマが末永く多くの人に愛されることを願いまして、この文章を終えます。
お読みいただきありがとうございました。