マタタビのみかん箱

月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり。

マタタビのみかん箱

ペンと本に、みかんを添えて
武田綾乃先生の講演会に行ってきましたれぽ

武田綾乃先生

講演会れぽーと
【読書】大学生へのおすすめ本 展示の記録

おすすめ本

展示記録
クソデカ文学「クソデカ羅生門」のマジ半端ない風情を読み解く。

クソデカ羅生門を

読み解く
注目ボードゲームまとめ

注目ボードゲーム

まとめ

『せんせいのお人形』 藤のよう

f:id:matatabi6785:20200119195112p:plain

  

 『せんせいのお人形』はコミックアプリ「comico」にて2016~2019年に連載した作品です。

 このマンガのことは全く知らず、本屋さんで見かけて気になっていました。調べてみると、10話まではネットで無料で読めるとのこと。

 とりあえずネットで読んでみるか、と読み始めて数時間後には私のキンドルに2巻まで入っていました。

 何が起こったんだ……!?

 

www.comico.jp

 

 

あらすじ

 身寄りがなく親戚をたらい回しにされる女子高生・スミカ。回り回って、名門女子校で教師をしている照明(しょうめい)に引き取られることになります。

 今までまともな扱いをされてこなかったスミカは、身なりはボロボロ、言葉遣いも悪く、箸の持ち方すら知りません。

 そんなスミカを見て、照明は彼女を教育することに決めるのでした。

 

 

「おれは教育するよ、君を」

 正直、タイトルからはあまり良い印象は受けませんでした。お人形と言う言葉には悪い意味を感じたからです。しかし、実際の内容はとても誠実なものでした。

 不器用ながらも真面目にスミカと向き合う照明、そしてそんな照明にどう接したら良いか分からないスミカ。

 二人の視点から交互に話が進み、それぞれの葛藤が分かりやすく丁寧に描かれていました。話が進むにつれてスミカの成長を感じる度に、とても嬉しく感じました。

 でも、それだけではありません。この物語で本当に面白いのは、スミカの成長だけではなく、照明の成長が描かれていることです。

 初めて親の立場になった照明は様々な葛藤をします。不器用ながらスミカと正面からぶつかって、いろんな言葉をかけます。そんな照明の姿を見ていると、だんだん照明に共感している自分が居るのに気づきます。

 きっと、照明のそういった姿があるからこそ、スミカの成長する姿が輝くのだと思います。

 

 

「活字の海を渡るには 自分の船が必要だ」

 私の好きなお話の話。第6話「活字の海」は無料で読むことが出来ます。

照明がスミカに本の読み方を教える話です。読書感想文の課題。本を読まない、読めないスミカに照明は『銀河鉄道の夜』(宮沢賢治著)を差し出します。

おいおい、なんて本を選ぶんだよ……最高かよ

 2人で交互に音読する場面も好きですが、一番好きなのは照明が言うこのセリフ。

「活字の海を渡るには 自分の船が必要だ」

 ー第6話「活字の海」より

スミカには「イミわかんない なんか言ってて恥ずかしくない?」と一蹴されてしまいますが、私はこの言葉がとても好きです。

 読書を航海に例えているのが素敵だと思います。そして何より、誰かの船でなく、「自分の船」だと言うのが好きです。

 この話を読んだ私は言葉に出来ない感情に襲われ床をのたうち回り「素敵やん…」と呟きながらキンドルをダウンロードしました。

 スミカが「自分の船」を手に入れられたかどうかは、ぜひ実際に読んで確かめてください。

 

 

おわりに

 単行本1巻には15話まで入っているので、10話まで試し読み出来るのは多いですね。気になった方はぜひ。

 2巻ではスミカが学問への扉を開いていく姿が見られます。この辺りの展開もとても好きです。2巻でもある場面を読んで床をのたうち回った。

 単行本3巻は3月26日に発売します。課金すればWEBで最終話まで読めるのですが、長く楽しみたいので単行本をゆっくり待ちたいと思います。

 楽しみが増えました。

 

それではまたどこかで。

 

 

 

 書影は以下よりお借りいたしました。

「版元ドットコム」https://www.hanmoto.com/about_bookdata 

 

f:id:matatabi6785:20200119212741p:plain